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それから幾日か過ぎ、いよいよ藤堂の悪い噂は優介の耳にまで届くようになった。異国から秘密裏に輸入している薬があるらしいこと。その薬を富者に売り捌くことで莫大な金を手にしていること。そして、その薬のせいで何人もの人間が人生を狂わせていること―――
夏生は無事だろうか。そればかりが気になって、優介は仕事に身が入らなかった。
(なっちゃんに会いたい…)
いてもたってもいられなくなった優介はある日、得意先から真っ直ぐ店に戻らず藤堂の屋敷へと向かった。ひと目だけでもいい、夏生の顔を見て安心したいと思ったのだ。しかし―――
「申し訳ございません。誰も屋敷に入れるなと旦那様に言われております」
門番の男にそう告げられ、追い返されてしまった。それでも諦めきれずその後何度も屋敷を訪ねたが、優介が夏生に会うことは叶わなかった。
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