152人が本棚に入れています
本棚に追加
「長い間、お勤めご苦労さまでした」
突然降ってきた言葉に大きく目を見開くと、夏生の瞳はみるみる潤み目尻には涙が浮かぶ。それは長い年月をかけて少しずつ積もり続けた澱みをすべて洗い流してくれるような優しい響きだった。
「この家の…俺の家族になってくれてありがとう」
そう言って笑う顔があまりに綺麗で、幸せで。こみ上げてくる感情を抑えきれず、夏生は嗚咽を上げながら子供のように泣いた。
初めて見る夏生の涙は美しく、そしてとても哀しかった。包み込むように抱きしめると、それに応えるように夏生の腕が背中に回り、どちらからともなく唇を合わせる。そのままさらに強く抱きしめ合うと、互いの鼓動や呼吸までもが重なり合い、まるで一つになったかのような錯覚に陥る。
「あっ、あ、ぁ…ゆ、すけ……優介…ぇ」
「なっちゃん……っ」
名前を呼び合えばまるで媚薬のように理性を奪っていき、密着する体はもうどちらのものかもわからないほど混ざり合い溶け合っていく。
甘い嬌声と共に夏生の体がひときわ大きく跳ね上がる。絶頂を迎えたと同時に内壁が収縮し、搾り取るような動きに抗えず、優介も夏生の中に熱い精を解き放った。
最初のコメントを投稿しよう!