〈第3部〉第12話 ※

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荒い息を繰り返しながら、二人は心地よい事後の余韻に耽る。優介が汗ばんだ額にかかる髪を指先で払いのけてやると、夏生は擽ったそうに目を細めた。 「俺さ、今まで数え切れないくらい男に抱かれてきたけど、こんなに満たされた気持ちになったの初めてだ」 そう言って頬を撫でる優介の手に自分の手を重ね、夏生は少し困ったように笑う。 「毎日が夢みたい。…いいのかな、こんなに幸せで」 「いいに決まってる。これからは幸せしかないよ」 琥珀色の瞳を潤ませ微笑む夏生は、これまで見たどんな表情よりも美しかった。
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