〈第1部〉第2話

1/4
前へ
/235ページ
次へ

〈第1部〉第2話

翌日、徴収人はこうなることを見越して城下の判人を連れて相沢の家を訪れた。判人は人買の一種で、人の『商品としての価値』を見定める目に長けていた。 土間へ降りた夏生は、凛とした態度で徴収人と判人を見据える。猫っぽい大きな琥珀色の目と下睫毛、それにほんのり赤みがかった薄い唇。髪は短く切り揃えられているものの、夏生の容姿は一見すると女子に見間違うほどだった。 判人の男はひと目夏生を見るなり厭らしく笑い、徴収人に耳打ちした。 「粗末な身なりをしてるが、こりゃあ上玉だ。高く売れますぜ」 「そうかい。こっちは徴収分さえ貰えれば、後は好きにしてもらって構わないよ」 「へへっ、それは有り難え」
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

152人が本棚に入れています
本棚に追加