〈第1部〉第2話

2/4
前へ
/235ページ
次へ
簡単な身体検査のみで手続きは呆気なく済み、徴収人は今期分の金を手に取り早々に立ち去った。残った判人は手早く精算作業を済ませ、身支度をしながらこう話をまとめる。 「心配いりませんぜ。ちゃんと稼げるようになったらすぐに帰って来られますから」 「本当…ですか?」 「ええ。この子の働きにもよりますけど」 両親の手元に残ったのは僅かな金。すぐに底を尽きるのは夏生の目にも明らかだった。両親のために頑張らなくては―――幼心にそう思った。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

152人が本棚に入れています
本棚に追加