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「夏生…っ」
「おおっと。こいつはもう大事な商品なんでね、気安く触らねぇでくださいな」
我慢ならず抱擁しようと駆け寄るキヨを静止して、判人は容赦ない言葉を浴びせた。
「夏生…ああ、なんでこんなことに…」
泣き崩れる母を目の当たりにしてもなお、夏生は気丈に振る舞った。ここで弱音を吐いてしまったらもう二度と会えなくなるような気がして、ギリギリのところで必死に耐えた。
「父さん母さん、心配しないで。俺、頑張ってくるから。…行ってきます」
「なつ…、うう…っ」
「ああああ…」
夏生は最後まで涙を見せなかった。
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