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「……あ? 巨大ロボットと?」
「そーそー! うちもアレ欲しい! 造ってくれ!」
「お前さん……まるで『おかあさん、カレー作って!』という気安さでとんでもないこと言うなよ」
「え? できないのか? あの稀代の大天才・天岡ソウイチが?」
「いやできるできないの話ではないが……まず、お前さんに質問させてもらうがよ?」
「うむ、なんだね」
「お前さん、一体なにに影響されたよ?」
天岡の鋭い眼光に、日本帝国元帥の男は軍服の下からおそるおそる、何かを取り出す。
どうやらブルーレイディスクのパッケージのようだった。
銃を構えた、緑を基調とする機械のロボットが大きく描かれた表紙だった。
「……『装鋼歩兵ラディックス』」
「〝ロボットアニメ〟かよ! バカかお前さんは!」
「え!? 待って待って! ちょ、酷くない? マジ卍なんだけどー」
「黙れ。ギャルっぽいセリフを言うなよ。ワシの大好物のギャルを侮辱するなよ。歳と性別を考えろよな43歳おっさん」
「うるうる」
「上目遣いでこっち見んなよ。キモいからやめろよな、はっ倒すよ」
「なら、43歳のナイスガイな私が今からここで駄々をこねるぞ。デパートのおもちゃ売り場で泣きじゃくる子供みたいにだ。いいのか? すごくウザいぞ」
「おう、やってみろ。シカトすっから。てか、ナイスガイだったらンなことしねーよ。つか『ガイ』って歳かよ?」
「君が『いいよ』と言うまでッ! 駄々をやめないッ! ……いいのか?」
「おうおう、やれやれ。飽きるまでやれ」
帝舞の必死でクレバーな説得も、天岡という大天才には通用しない。
だが、彼には最後の切り札があった。
天岡ソウイチという天才を知り尽くした彼にしかできない最後の手段。
『元帥』という地位を脅かしかねないリスクを背負った、覚悟という名の切り札が。
「…………………デリヘル一年分」
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