アカシアのショコラティエ

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 世の中が浮かれている。  俺はそんなもんに惑わされねぇぞ。いちいち騒がねぇ。  何つったって、100%もらえるアテがあるからな。もらえるのもらえないので騒ぐ必要はねぇ。  今日のリハーサルが終わり、マネージャーの相澤さんが持って来てくれた、ファンからのプレゼントをそれぞれ手に取る。デカい紙袋に、各メンバー分がきちんと仕分けてもらってある。当然事務所で一度全部開封するけど、毎回できる限り元通りにしてくれる丁寧さがキールクリエイテッドだ。前の事務所のキューブプロモーションなんか、裸で寄越しやがることもあったわ。  バレンタインだけあって、ちょっと多いな。俺も割ともらえるようになって有難い限りだ。送ってくれる人だけがいいヤツってわけじゃなくて、ツイッターにリプくれたり、そこまでじゃなくてもイイネを一つ押してくれるだけでも嬉しいよ。俺のことをちょっとは気にかけてくれてるってことだもんな。 「嬉しいなぁ。何入ってるんだろ!」  綺悧が心底嬉しそうに、弾んだ声で言う。 「家に帰るまでお楽しみにしとけよ」 「だよねー。この辺とか……ぬいぐるみっぽいなぁ」  袋の中を覗き込んで、指でつついてる。他の奴らもニコニコだ。宵闇以外。だけど、宵闇もいつも帰ってからニコニコで開いてるんだぜ。
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