アカシアのショコラティエ

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 こいつら、こんな風にプレゼントもらえるようになって長いのに、毎回ちゃんと嬉しそうで偉い。宵闇が「いつなくなっても不思議じゃないからな」って言ってたけど、朱雨も礼華も綺悧も同じように思ってるんだろう。  ここに、チョコレートやらの食べ物は入ってない。当然、食べ物、生物は禁止だから、バレンタインも例外じゃない。  でも、バレンタインと言えば勿論チョコだ。これは日本史において厳然たる事実だ。 「朱雨、リュウトくんからチョコは」  朱雨がリュウトくんと同棲してんのは、メンバー全員知ってる。去年はどこやらのもらったとか言ってたな。 「まだ。多分、帰ってからだわ」 「お前は用意してんの?」 「おう! 作った!」 「ああ? お前、チョコまで作んの」  料理が得意なのは知ってたけど、チョコまでとは思わなかった。 「だってよ、リュウトさんが買ってくるヤツ、どう見ても高そうなんだぜ」 「あー……」 「そっちじゃ釣り合わねぇから、こう、プライスレスなヤツをな」 「ある意味値段はつけられねぇな」  売り物にはならねぇだろって意味で。 「うっせぇわ。見ろて」  そう言うと、スマホを開いて写真を見せてくる。 「ほれ、どうだ」 「ほー」
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