わたしを捨てないで

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 いつからか、私は一年に一度さえ、外へ出してもらえなくなった。  毎年、その頃になると、私は祈るような気持ちでいた。 「お願いだから、私をここから出して……」  一年以上も真っ暗闇に居続けたら、気が狂ってしまいそう。私は、あなたと光の中で過ごす一瞬のために生きているのに。 「やったわ! 今年もここから出してもらえる!」  となりの部屋から、ゴソゴソという物音と、あの女性(ひと)の嬉しそうな声が聞こえる。 「あの子、今年も出てこられないのね。かわいそう」  そう言って、クスクスと笑う声。 「やっぱり、きれいだね」  あの女性(ひと)のことを褒める、あなたの嬉しそうな声。  部屋の外で響く、明るい音楽と楽しそうな笑い声。  嫌。出して。出してよ。私も出して。  どうして私のことは出してくれないの?  私はずっと一生、この暗い部屋に閉じ込められたままなの?  そんなの嫌。嫌。嫌。  ねえ、私のこと、嫌いになっちゃった?  もう飽きちゃった?  私はこれから、どうなるの…………?  ねえ、お願いだから、あなたの一番じゃなくていいから、私をここから出して…………。
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