7:記者

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 数日後、俺は獣村へ訪れた。鈴が一人だと危ないからと、一緒に来てくれた。  「なぁ、鈴」  「なんすか~」  「お前から見ての“漆黒の狼”とは、どんな人物だ?」  「そうっすねぇ…。  波に流されず己を貫き、他の者を正しい道に導き、救い、堕とす。  気高く穢れぬ黒を纏い、仲間を大切にし、敵には全力で倒しにかかる狼。  その牙はあらゆるものを貫いて、あらゆるものを壊す。  いつも祈るように眉間にシワを寄せて戦う。  束縛を嫌い、権威を嫌い、群れを嫌う。  誰よりも強く、誰よりも優しく、誰よりも嘘を嫌う美しい狼…」  鈴によって語られる“漆黒の狼”の人物像。  獣村に行くためには3つのゲートをクリアしなければならない。1つ目と2つ目のゲートは難なくクリアした。  「最後のゲートが、一番難しいんだけど…」  「いらなかったみたいっすね」と鈴は3つ目のゲートに指を指した。すると、獣たちが倒れていた。  「多分、“漆黒の狼”っすね」  「強いのか」  「そりゃ、そうでしょ。狼の血が流れているんすから」  鈴に着いて行くと、崖があり、そこからどうすればいい?と聞いた。すると、鈴は笑った。  「まぁまぁ。ここで待っていれば、“漆黒の狼”は出てくるはずだから」  俺はテントを張り、“漆黒の狼”が現れるのを待った。鈴は村を見学したいと言って、どこかに消えてしまった。  「本当にいるのか?ここに」  鈴を完全に信用したわけではない。  諦めるかと思った時、ガサガサと物音がした。木の上を飛び移る音だ。  俺は上を見た。  「!!」  そこには、黒いオオカミがいた。その背中には二人の女性を乗せていた。そのうちの女性が、傷を負っていて、もう一人がその女性の背中をさすっていた。  何より、驚いたのは《隔離区域》で若い女性から聞いた、“漆黒の狼”の容姿で黄金色の瞳。それが黒いオオカミの瞳と同じ色だった。  そのオオカミと目が合った。俺は決して、逸らさなかった。オオカミはふいっと逸らし、木から木へと飛び移った。  「あれが、“漆黒の狼”」  すると、後ろから鈴が出てきた。  「ほらね、俺の言った通りだったでしょ。あれが“漆黒の狼”っすよ」  「決めた。俺は“漆黒の狼”を追う。鈴、お前も協力しろ」  「了解」  俺は刑事だった頃の、湧き上がるような気持ちが戻ってきたように思えた。真実を知りたい。そんな気持ちが俺を動かしていた。  待ってろ、“漆黒の狼”。
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