58人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
・・・。
腕に並んだ、丸い小さな傷痕。十年以上前の、バカな傷痕。
その横に、タバコの先を押し付ける。
オレンジ色の光が、皮膚の中に埋もれていく。
肌を熔かし、肉を焼く。
くそムカつく。
半年経っても、忘れられない。逃げるように別れたあの男のことが、今も頭から離れない。
もう一度、あの白い肌に舌を這わせたい。
もう一度、あの男を抱きたい……。
肌の色を失った、ぐずぐずの丸い傷の横に、タバコの先を押し付ける。
オレンジ色の光が、皮膚の中に埋もれていく。
バカみてぇ。俺は、中学生のガキか……。
最初のコメントを投稿しよう!