46人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
◆
男とは、四ヶ月くらい付き合っていた。
仕事の打ち合わせでたまたま入ったバー。そこで働く男に声を掛けられ、そのまま男の家へ行った。
銀色の短い髪を立てた、長身の男。
薄暗いバーの中でも、整った顔をしているということは、はっきりと分かっていた。
でも、明るいところで見る男の顔は、思っていた以上に綺麗だった。
上瞼が少し垂れた切れ長の目と、口角がきゅっと上がる、薄く横に広い唇。
笑うと柔らかく可愛らしい印象で、男にも女にもウケる顔だろう。
この男なら、男も女も選びたい放題なのに、なぜオレなんかに声を掛けたのか、不思議に思った。
ただ笑っていないときの男は、黒目が少し上に付いた三白眼と、目のすぐ上にある、細く吊りあがった短い眉毛のせいか、恐怖を感じるくらい冷たく、尖った印象だった。
最初のコメントを投稿しよう!