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2-1.来訪。
――ピンポーン。
インターホンが鳴った。
ドアホンのモニターへ向かい、そこに映った姿を見た瞬間、大量の血を一気に抜き取られたみたいな悪寒が、全身に走った。
意識が薄れ、体と思考が硬直する。
玄関へ向かい、ドアに伸ばした手が意図せず大きく震えた。
チェーンを外し、鍵を二個開ける。
開いたドアの隙間から、少し大人っぽくなった、見覚えのある笑顔が覗いた。
「久し振り。いきなり来て、ごめんな」
「あぁ……、うん……」
喉が掠れ、声がうまく出なかった。
短く切られた黒髪、初めて見る眼鏡姿。
服装はすっきりと落ち着いていて、大人っぽい。あの頃から、どれくらい背が伸びたんだろう。
オレの目には、大好きだったあの笑顔が、映っていた。
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