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その後、私たちは昼食に特製カレーを食べて、樹が来るのを待っていた。
十四時を少し回った頃に樹が店に駆けこんで来て、息を切らしていた。
「そんなに慌てなくても…」
トオルは樹、水島桜子の前に水を出す。
「ありがとう。収録が押しちゃってさ。でも今年のお仕事は今日で終わり」
樹はニコニコしながら言う。
「明日の紅白も出れないしね」
紅白か…。
いつかカナハミが紅白に出る事なんてあるんだろうか…。
「あの…。この間の…」
宮脇は樹の顔を覗き込んで言う。
「あ、この間はどうも。カナハミのサクラです」
完璧なアイドルスマイルで樹は宮脇に挨拶した。
「え、カナハミってあの…」
宮脇は無意識に手を服で拭くと樹の前に手を差し出して握手をしていた。
「何か凄い人とストリートやったんだな…」
そいつ、お前が何度も殴られた樹だよ…。
私はそう考えると可笑しくなった。
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