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『僕は毎週の火曜日、この電車のこの車両のこの席にいます。よければ文通をしていただきたいんです。無理なお願いであることは分かっています。けれど、もしよければ、来週のこの時間、あの席でお待ちしています。お返事を頂けると嬉しいです。』
それからいったい何通手紙を送り合ったでしょうか。学校で最も過酷な教科は読書感想文であると豪語するくらいには、文章を書くのを苦手としている私が、あれほどの量の文字を書くとは。いま振り返っても不思議なものです。
何気ない日々の出来事から、時には学校で起きた不思議なことまで。あなたの話のどこまでが本当だったのか。あの頃の私は淡路島にナマハゲが出たなんて話まで信じていましたから。おそらく私を楽しませるための創作だったんだろうと今になってみれば思います。それとも本当にそんなことが合ったのかしら。
とにかく純粋だったのだと思います。素直に信じていたというよりも、あなたが綴ってくれたという事実が何よりも大切だったのです。
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