ノンストップ! オカルト科学同好会

5/7

33人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「いえ、あの」  適当に言いくるめようかとしていると。 「あ、あの、ぜぜぜ是非! お、お手伝いを!」  『ここぞ』と見たか、会長がガバリと右手を上げる。緊張しすぎたのか声がひっくり返っているけれど。  ……何だか、妙な胸騒ぎがするのは気のせいか。 「ああそうか! それは有り難い。何か情報を掴んでいるなら教えてくれると嬉しいが」  協力を得られて嬉しかったか、黒麻先輩がにっこりと微笑む。 「むむむむむ無論です! で、でーたなら、沢山あります!」   「本当ですかぁ? 黒麻先輩のストーキングに関するヤツとかでなくて?」  小声で囁くと。 「し、失敬な! ちゃんと盗撮犯の調査もしておる! バックグラウンドでだがな!」  とスマホを取り出した。どうやらPCのデータをクラウドで読めるようにしているらしい。 「盗撮犯とて、誰でもいいわけではなく『女性の好み』があるばすなのだ! だから、被害者の特徴をインプットしてAIでその性癖(ストライクゾーン)を特定することに成功しておる!」 「おお! それは凄いじゃないですか!」  思わず身を乗り出す。  凄いな、ちゃんとそういう仕事もしていたんだ。意外とが無いんだな、少し見直したというか。 「ちなみに、どんな感じなんです? その盗撮犯の性癖(ストライクゾーン)は」  横からスマホを覗き込むと。 「う、うむ。これだ」  画面にテキストが並んでいる。 「えっと、だな。まず身長が『下限152センチから上限162センチ』……」 「あー……何処かで見たような数値では? 何かヤな予感するんですが」 「次に被害女子のスリーサイズが『B83以上 W63以下 H88以上』で『C-Dカップ』に集中し」 「いや……これ、マズくないですか? 何だか知らないですケド」 「『髪はセミロングで』」 「あのー会長? これ、やめた方が」 「『大人しい性格の』」 「も、もう、その辺で!」 「『読書好き女子を好む傾向がある』……と出ていてな」  会長が誇らしげに最後のテキストを読み上げる。 「あとはと類似するプロファイルを持つ人物を探せば……」 「会長ぉぉ!」  慌ててスマホの画面を手で覆う。 「おい、何をする!」 「何をじゃないですよ! マズいですって!」 「だから何が?」 「ですから! そのプロファイル、まるっきり黒麻先輩のストライクゾーンじゃないですか!」 「おぉ! 言われてみれば確かに……気づかなかったな」 「『抜け目』どころの騒ぎじゃねぇぇ!」  冗談じゃない! こんなの犯人を名指ししているようなものじゃないか。とても黒麻先輩に見せるわけにはいかない。人権問題に関わるぞ。  だが……。 「何かあったのかい?」  異変を感じて黒麻先輩がやってくる。 「何でもありませんから!」  思わず押し返した瞬間に、黒麻先輩のポケットから何かがゴロリと転がり落ちた。 「お、おっと、しまった!」  黒麻先輩が慌てて腰を屈めるが、原因はボクだ。 「す、すいません! すぐ拾いますから……て、これは」  黒麻先輩を制して急いで拾い上げたは、あの『透明人間シロップ』の瓶だった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加