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「シャワー浴びてこい。なんか食わせてやるから」
「はぁい……」
まだ身体は熱いしだるい
でもダラダラしていられそうにない
俺がベッドでぐったりしている間に
大森さんはシャワーを浴びて来たらしい
ジャージにTシャツという格好で俺を呼びに来てくれた
……期待外れだったのかな
俺はシャワーを浴びながらそんな心配をしていた
チラリと見た洗面所の鏡に映る自分の身体には
吸いあと一つ残っていなかった
男とこういうことをし始めて十年くらいになるけれど
一応それなりに褒めてもらえたし
結構がっつかれてきた
一度で終わらないことがほとんどだった
なのに大森さんはそんな感じじゃない
冷めているわけじゃないけれど
俺が我を失うほど乱れたからかもだけど
気持ちいいの一言さえ聞かなかった気がする
それこそ普通の顔してたような……
「何もないけど」
「すごい!大森さん、料理できるんですか!?」
「お前は全然してないから、こんなのが料理だと思うんだ」
コンパクトなダイニングテーブルの上にはおにぎりが用意されていた
おいしそうな玉子焼きもあって
大森さんの手にはお味噌汁の入ったお椀
それをテーブルに置くと、これでも着てろとTシャツを貸してくれた
「……俺のパンツは?」
「洗濯中。シャツもな」
「どーも……」
……泊めてくれるのかな
まだ帰る電車のある時間だけれど
腰にバスタオルを巻いただけの身体にそのTシャツを被る
紺地に白で有名なメジャーリーグのチームロゴが入ったそれは
俺が着ると太ももの真ん中辺りまでの大きさだった
上背も違うけど身体の厚みに圧倒的な差がある分
着丈は予想以上に長くなってしまう
「裸エプロン的な?」
「素肌に彼シャツ一枚は王道だろう」
「はあ……」
彼シャツ?
彼、なの?
ドキドキするけどソワソワする
俺は湿ったバスタオルを外して席に着いた
誰かが握ってくれたおにぎりなんて何年ぶりだろう
俺はいただきます、と手を合わせて
優しいあたたかさの残るそれにかじりつく
「おいしい……」
「そりゃお前、天下ののりたま様だからな」
「じゃなくて!」
「足りるか?」
「十分……大森さんは?」
「作りながら食っちまった。悪いな」
大森さんは笑いながらテーブルの角を挟んだ隣の椅子に座った
真正面よりも距離が近くて
隣よりも視界に入って
なのに現実感がない
大森さんのご飯を大森さんの家で食べているのが不思議だった
「……なんか、不思議です」
「うん?」
「今の状況。……夢かもって」
「なんで」
「……両想い、の、実感が沸かない」
「そうだなぁ」
大森さんは楽しそうだ
頬杖をついて俺のほうを見ている
「俺のことをなんでも知ってる高木和弥くん」
「……はい」
「俺の名前は?」
「……おーもり、ゆーきさん」
「呼んでみ?」
「……悠己さん」
「いいなぁ。両想いっぽくねぇ?」
「……悠己」
「なんだ、和弥」
口に馴染まないその名前は
呼べば呼ぶほど好きになる
笑顔の大森さんにぎゅーーーってこころが締めつけられる
顔が熱い
俺はそれを誤魔化すようにおにぎりを頬張った
「ちょっとは雰囲気出たんじゃねぇか?」
「……好き、かも」
「おお。あんなコトしといて、今ようやく「好きかも」って?お前面白いな」
「……つまんなかった?」
「え?」
「俺……俺としても、つまんなかったですか?」
自分で言っておいて大森さんの返事が怖くて目を逸らした
急いでおにぎりを食べ終えて
残っていたお味噌汁を飲んでお箸を置く
お腹は満たされたけれど沈黙が苦しい
「俺、つまらなさそうだったか?」
「……わかりません」
「俺も、実感が沸かなくてなぁ……」
「え?」
ため息交じりの一言に俺は思わず大森さんに顔を向ける
頬杖をついたまま
指で顎や唇を擦って困ったような顔をしている
「和弥としてるんだなーって思ったら、なんか、俺も不思議で」
「……」
「それに、お前みたいなやつ、抱いたことなかったし」
「俺みたいって」
「んー……あー悪い。うまく言葉が見つからなくて、下品で下世話な言い方だけど、上等っていうか」
「じよっ」
「なんか、こんないいの、俺が抱いていいのかなって……あ、ごめん。今の言い方もアレだな」
大森さんがまた俺の頭を撫でる
何、この感じ
この大事にされてる感はなんなの!!
慣れなさすぎてどうしていいかわからない
俺は真っ赤になって固まってしまった
なのに大森さんは追い討ちをかける
「壊しちゃまずいし、汚しちゃだめだしって考てたら、終わってた。無我夢中。すまん」
「いいえ!」
「つまんなさそうで悪かった。つまんねぇはずないだろが」
「俺、実は褒められて伸びるタイプですっ!」
「知ってる」
大森さんの手がするりとテーブルの下に消える
次の瞬間、むき出しの太ももにその大きな手が置かれた
俺はテーブルの上で両手をグーにして口をパクパクするしかない
顔が、熱いって
「飯、済んだか」
「は、はい。ごちそうさまでした」
「お茶でも淹れるか」
「あ、じゃあ、俺が」
大森さんは頬杖を外して
その手で俺の肩を抱き寄せた
全然優しくない男っぽいキスに驚いていると
太ももに乗っていた手が一気に股間を撫で上げて
俺のを掴んで動き始める
「後でな」
「あっ……!!」
「和弥と両想いだって、ジワジワ実感してる。化けの皮剥がれそう」
「化けて、たの?」
「猫被ってたかな」
「化けの皮、被って……?」
「馬鹿者。俺はズル剥けだ」
「ん、あっ、はぁ……っ」
何?何の話?!
わけわかんない
大森さんはガタンと音を立てて椅子ごと俺に近づいて
激しく濃厚なキスをくれながら巧みに手を動かす
俺は何もできずにただただテーブルの上で手を握りしめていた
俺の身体が勝手に跳ねる
キスの合間にまた切羽詰まった声が漏れる
「エロい声出すよな、お前」
「ちが、違う、の!ほんとはもっと……んくっ……!」
本当はもっと可愛い声で啼くんです!
なのに、なんでこんな大事な時にー!
キスと手コキでもう俺は限界
チラリと自分の下半身に目をやれば
Tシャツの裾が捲れ上がって全開の生白い太ももと
その太ももの間で俺のをぐちゅぐちゅ扱いている大森さんのグローブみたいな手
それを見た途端
身体の奥が捩れる様に熱くなって
一気に興奮して達してしまった
自分の穴からTシャツに白濁が飛び散るのを見て
シャツが汚れちゃったと場違いなことを考えた
紺色にザーメンは目立ちすぎる
「和弥」
大森さんが俺の腕を掴んで引っ張る
俺は大森さんにしがみつくみたいに太ももを跨いで座って舌を絡める
好き……すごい好き
大森さんは俺のお尻をむにゅむにゅ揉んでる
「和弥……お前、本当にかわいいな」
間近で目を合わせて
大森さんがそう言ってくれた
俺は嬉しくて大きく頷いた
「かわいい、よ。俺、大森さんの前だと、かわいいと思う」
「俺の好きな子が、こんなにかわいくてしあわせだよ」
「ですよね!」
「ケツ、小さくてプリプリだな」
大森さんは王子様じゃないからケツって言ってもオッケーだ
熱くて大きな手に撫で回されて揉みしだかれて
俺のケツは悦びに震えている
「和弥、シャツ捲れ」
「……こう?」
「もっと」
「……このくらい?」
「もっと。乳首見せろ」
俺はおずおずとTシャツの裾を両手でたくし上げていく
こんな明るいところで
ダイニングテーブルの椅子に座って
自分でシャツ捲るのとか恥ずかしすぎる
なのに大森さんは俺のケツを揉みながら
じっと俺を見ている
あ、俺の、また勃ってるし……
「色白くて綺麗な肌だな」
「そ……かな」
「筋肉も綺麗についてる。よく鍛えてあるな」
「結構頑張ったし」
「乳輪の色も乳首のサイズも俺好み」
「は!?……あんっ!!」
「可愛い声だな。すんげぇ感度……ピンピンに立ってるくせに妙に柔らかい」
「ん、あ……はあ……!」
大森さんが俺の乳首に吸いつく
柔らかい唇で乳輪ごと口に含んで生温かい口腔内でねっとり舐めあげて
小さい痛みを感じる程度に噛まれる
その痛みは次の瞬間にはたまらなく甘いうずきに変わる
俺はギュッとシャツの裾を自分の肩の辺りで握り締めて
執拗な愛撫に声を上げ続けた
大森さんの手は相変わらず俺のケツを揉んでいるけど
太い二の腕が俺の身体を支えてくれているからひっくり返ったりはしない
そのかわり、強い刺激から逃れることもできない
「お、もりさ……!はあ……うぁ……」
「和弥のちんちん、えらいことになってんぞ」
「あ、当たり前……っ!も、ダメだって……」
「モロ感だなぁ……イくか?」
「そんなの、無理……!」
「そうか。ま、そのうちな」
「ああん!」
双丘をグイッと左右に引っ張られて
露わになった後孔に指を入れられた
二本の指が交互に出たり入ったり
奥を拡げたり入口を開いたり
やらしい音、してる……!
俺のケツ、ヤバイって!
背中を駆け上がってくるゾクゾク感
大森さんは乳首から口を離して俺を見つめる
「聞こえる?俺にイタズラされてる音」
「や……も、ばかっ……!」
俺はTシャツに噛みついた
そんなことでもしないとおかしくなりそうだった
噛んだTシャツをさらに握り締める
身体を捩ることも出来ないくらいガッチリホールドされて
恥ずかしさと快感と嬉しさで頭が真っ白になっていく
「キスできない。和弥」
「ふ……っ、んんぅ……!」
「脱いでいいぞ」
その手があったか
俺はTシャツを脱ぎ捨てると
ようやく自由になった両手で大森さんの顔を掴まえて
むちゃくちゃにキスしまくった
そして彼の分厚い胸に手を這わせる
すごい筋肉……かっこいい……
Tシャツ越しにぷくりと主張する彼の乳首を指先でつっついて
その胸にほっぺたやおでこを押し付けるように抱きつく
「は……最高……好きだよ、和弥」
「俺も……っ俺も……っ」
「もっと早く、浚って食っちまえばよかった」
「ん、食って、今、食って」
「こら、出すなって」
俺は手探りで彼のジャージをずらして逞しいそれを引っ張り出した
こんなに硬くなってる
手のひらの感触にますます興奮していく
「入れて」
「ああ、ベッド行くか」
「ここでいい。コレ入れて、早く」
「明日も会社だから生はダメだろ」
「い、じゃん……いい、から」
「休みの日に、孕むまで注がせてもらうよ」
「大森さん、や、俺」
「エロネコ、最高だな」
大森さんは指を増やして激しい動きで俺の中をかき混ぜて
また可愛くない声を出しそうになった俺の唇を塞いだ
上も下もめちゃくちゃで
俺は大森さんの膝の上でイってしまった
射精後の脱力感でぐったりと大森さんにより掛かる
ああ、大森さんのシャツまで汚しちゃった……
「しがみついとけ」
大森さんは俺をぶらさげたまま立ち上がり
寝室まで連れて行ってくれた
すごい力持ち……たまんない……筋肉パンパン……
俺は揺られながらうっとりしていた
大森さんは俺をベッドに降ろすと
ちゃっちゃとゴムを装着しててジェルをぶちまけて
あっという間に俺に挿入した
そして俺はあっという間にイってしまった
いい加減出すものはなくて尿道をせり上る感触もなく
ただ大森さんと繋がったところの奥の方に溜まっていた甘く重いドロドロした熱が爆発した
深い絶頂感に何も考えられなくて
俺はただひたすら大森さんに好きだと言い続けた
大森さんは今度こそ俺を褒めてくれて
気持ちいいって言ってくれた
俺はそれが嬉しくて
ようやく両想いだって実感した
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