本当に見る目がないんです

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久しぶりのジムは相変わらず明るくて賑やかだった 受付のお姉さんに「お久しぶりです!」と言われて照れながら入館する 着替えをしてマシンフロアに降りると いきなり小阪さんに遭遇した 「高木様!」 「ぅぁはい!」 「よかった、心配してました。お仕事、お忙しかったんですよね?」 「ま、あの、諸事恙無く済みまして晴れて再びお会いできる算段整い」 「実は僕、今日でこの店舗から異動なんです」 「……はい、だから、来ました」 「そうなんですか?」 「お礼が言いたくて。小阪さん、ありがとうございました」 俺がそう言うと 小阪さんは目じりに笑いしわを寄せて にっこりと笑ってくれた 柔和な表情はやっぱり王子様のように思える 優しくて大人で逞しくて頼りになる人 風間君はそんなことないって言ってたけれど やっぱり俺の目に間違いはないと思う 「異動先でも、身体に気をつけてくださいね」 「ありがとうございます。高木様も。トレーニングも是非続けてくださいね」 「はぁい!」 今日が小阪さんの最終日だってみんな知っているから 俺と話している間も周りには人が集まってくる 俺はちゃんと小阪さんと話が出来たことに満足してその場を離れた 分厚い胸板や薄く日焼けした肌を見ても 妄想が湧くことはなかった そう言えば最近妄想して遊んでないなぁ 俺は明日の筋肉痛を恐れて程ほどに軽いトレーニングに調整して マシンのあとのランニングも三十分ほどで切り上げた お風呂で汗を流してジムを出るともうお昼前だった 俺は慌ててそこら辺で昼ご飯を詰め込んで 大急ぎでグラウンドへ向かう 「大森さん、かっこいい……!!」 何回そう言っただろう 今日は三チームが集まってそれぞれ二試合ずつ対戦するらしく 俺が着いた頃には大森さんのチームの二試合目が始まっていた グラウンドのフェンスの入り口をくぐって 空いているベンチの端っこに腰掛ける 結構強いらしい大森さんのチームは一試合目はコールド勝ちだったと隣に座る家族連れが教えてくれた 今は一対一の同点 マスク被ってミットを構えている大森さんは なんかもうとにかくカッコイイ 二盗を刺した時は 思わず立ち上がって歓声を上げてしまった まあ、周りもそうだったからそんなには目立ってないはず…… だってかっこよかったんだもん マスク飛ばして球を受けたと同時に立ち上がって 大森さんが糸を引くような速球を投げて それがベースカバーに入った内野手のグラブに吸い込まれる 審判のアウトコールを聞いてゆっくりマスクを拾うまで とにかく全部がカッコイイ 膝をついた状態で刺す強肩捕手もいるけれど 俺は立ち上がりざまに投げる方が好き 大森さんのモーションめっちゃかっこいい!! 「わかったって。何回聞かされるんだ?」 「はー動画撮っとけばよかった。かっこよかった」 「牽制は?」 「牽制も好き。でも牽制でアウト取れませんよね、なかなか」 「俺、牽制でスリーアウト取った事あるぞ」 「マジ!?山東みたい!!かっけーー!!」 帰りの車の中で俺は延々と大森さんの勇姿の話をした 本人はもういいって、とちょっと困ってる 「お前がいない間にホームランも打ったのに」 「なんですって!?さっきの試合のタイムリーもすごかったよね」 「で?ジムの方は楽しかったのか?つーか、昨日の王子様は?」 「あ、はい。うんとね」 そこからは二人の王子様の話をして 大森さんは俺に「よかったな」って言ってくれた 俺は嬉しくて「よかったよ~!」と頷いた 大森さんの営業車に同乗したことはあるけれど 自分の車に乗せてもらったのは初めてで 移動という味気ないドライブデートでも十分楽しかった 時々隣から長い腕が伸びてきて 俺の頭とか頬とか太ももを触る ああ、ラブラブ!! 大森さんの家に着いた頃には 俺は昨日の晩からのいいこと尽くめでものすごくテンションが高かった 「和弥」 「んっ……!!」 玄関に入って靴を脱ぐよりも先に 俺は大森さんに抱き締められてキスされた 男っぽいやり方は大森さんが欲情してるとき 何度かの経験でそうわかるようになった自分が嬉しい 「ん、ん……んふ……」 今日も暑かった ユニフォームのままの大森さんにしがみつけば 彼の汗の匂いがして興奮する 荷物を全部放り出してお互いの服を引っ張り合う 素肌に触れられて腰の奥が熱くなって ああもう勃ってるよ 大森さんは? 「和弥……入れていいか」 「うん、入れて……」 ジーンズを足首まで落とされて 片足を抜いてそれを肩に担がれる 身体が柔らかい俺は高い位置にある大森さんの肩に足首を乗せられても結構平気 露わになった俺の後孔に彼の指が入ってきて 中をかき回されて拡げられていく ジェルのないこの状態じゃ辛いけど それでも欲しい 「ああぁ……っ!!」 一度腰を落とした大森さんが 俺を下から持ち上げるように太いのを入れてくれた 案の定痛い でも想像以上にイイ コンドームなしで受け入れたそれは いつもより大きい気がした 形もすごくよくわかる 大森さんはズボンさえ穿いたままで俺を抱いている 俺は彼の舌を口を開けてねだりまくった 「いい、あ……はぁ……!すごい、いい……!」 「俺も。和弥……和弥ん中、気持ちいい」 「ほんと?うれし……うれしいよぉ……」 「もっとちゃんと掴まれ」 大森さんは俺の両腕を自分の首に回させて 辛うじて身体を支えていたもう片方の足まで抱えあげた 背中を預けていた壁さえ離れて 俺は完全に大森さんの腕の中 なのに大森さんはよろめきもせず 俺の身体を腕だけでぐいっと持ち上げた 奥まで入っていた大森さんのが勢いよく抜けていく その快感に俺は仰け反った 「んあぁ……!やぁ、抜けちゃう……!」 「暴れんなよ?」 「むり、ですっ」 ギリギリまで抜いた自分自身に串刺しにするかのように 大森さんは俺の身体をゆっくりと下げていく 逃れようもなくまっすぐに 彼の熱くて太くて硬いものに貫かれていく 勝手に足とか跳ねちゃう ぐぐぐっと押し付けるように根元まで入れられて 一気にまた身体ごと持ち上げられて抜けていく それを二度か三度繰り返されただけで俺は達した ちんこも満足に触られてないのに 大事な大森さんのユニフォームを汚してしまう まあさっきから涎とかあちこちから出てるのがついちゃってるけど 「すっげぇイキ顔……エロいなぁ」 「は……はん……だってぇ……」 「わかってるよな?和弥」 「わかってるよ……生、だもん、中に……出してくれるんでしょ?」 「そう」 「やっとじゃん……早く……!」 両想いになった日から 何度かここや俺の家でエッチしてるけど 学会だとかなんだとかで平日ばかりだった だからいつも大森さんは「今度な」って言いながら 大人の嗜みでゴム出しだった 俺の内側は待ちかねてキュキュウと彼のを締め付ける 「和弥……かわいいやつだな……キスして」 「ん、んん……!や、激し……!!」 大森さんはほんの少し前かがみになって 今度は俺の身体をがっちり抱えてすごい勢いで腰を打ちつけてくる 汗ばんだ肌同士が叩きあう破裂音 俺の喘ぎ声と大森さんの荒い呼吸 そしてアソコのねっとりした水音 「あぁ……出る……っ!」 「あ、あ、出して!出して……!んああ……!」 腹の奥の方に熱い感触が浸みていく 大森さんは太い腕で俺をぐっと抱き締めて 一滴残らず注いでくれた こんなセックス初めてかも…… つーかこの抜群に安定した駅弁ってどうなの…… 逞しすぎてメロメロなんですけど…… 俺たちはそれからベッドに移動して お互いぐちゃぐちゃになりながら求め合った 何度も出されて俺のあそこからは大森さんのが垂れてる それを中に戻すかのように また大森さんのが入ってきた 「あ……は……も、俺、むり……」 「ああ……最後な」 「ん、んん……!ん・あ・あああ……!」 正常位でお互いの顔を見ながらキスしながら 大森さんと繋がる 俺はイかされまくってヘトヘトで でもやっぱり繋がっちゃうと問答無用でたまらなく気持ちよくなる 「ゆるいって言われたのか?」 「え……?」 「最初、ゆるいからさっさと入れろって、お前言っただろ」 「ああ……ですねぇ」 何年も前だけど つきあってみたらろくでもない男で 珍しく俺から別れ話を持ちかけた 激昂したその男は色々と俺に罵詈雑言を吐いた その内のひとつが「お前のゆるい穴、掘ってやってたんだろが!」だった 恐ろしい そんな男に引っかかった自分が恐ろしい 「よっぽどの短小だな」 「もう覚えてないよ」 「俺にはぴったりだ」 「……そう?本当?」 「キツキツで柔らかくてよく締まる」 「嬉しい」 「お前は?」 「大森さんの?すごい好き」 「そりゃよかった。身体も両想いだなぁ」 「うん……すごい気持ちいい」 「俺もだよ。和弥とのセックス、最高」 色んな液体でドロドロで 大森さんが抜き挿しするたびにヤラシイ音が響く 頭ん中真っ白 イきたくて腹筋に力が入っていく 大森さんの大きな手が俺の膝裏を掴んで そのまま俺の顔の横まで持ってくる さらに腰を抱えて持ち上げて 俺のお尻の穴が天井に向くような体勢にさせられる ちょっと苦しいけど 大森さんに上から突かれるとすごく奥まで届いて 大きな快感の電流がビリビリ流れる 俺は喘ぎながら絶頂を予感する その時 今まで触れられた事がないほど奥を突かれた ズキンと痛みが走る 「ちょ……待って、ちょっと、痛い」 そう言いながら俺は腰をベッドに戻そうと身体を捩ったけれど 大森さんに掴まれていて動かない ずり上がって自由になろうとするとさらに力を入れられる 「逃げてんじゃねぇよ」 「や……やだ、そこ痛いって」 「落ち着け。暴れるな」 大森さんの口調は優しい だけどやめてくれない 突くのではなくペニスの先で撫でられるように奥を弄られて 急激にそこから快感が弾け飛んだ 目の前がパッと光った気がした イった訳でもないのにペニスから透明な液体が噴き出した 「やあぁ……!!ダメ!ダメ!それ以上来ちゃダメ……!」 溢れ続ける快感はすごい勢いで身体中を流れていき 手足にまで行き渡る あっという間に膨れ上がって溢れる出口を求めて暴れ始める ここから出て、と自分のペニスを扱いて導きたかったけれど 両手はシーツを強く握って固まったように動かない じゃあ、と声で逃がそうと口を開けるのに 荒い呼吸に忙しくて満足に悲鳴もあげられない ヨダレだけが溢れていく 大森さんのが信じられないほど中まで入っていて 壮絶な快感に俺は身動きできなかった だめ だめ おかしくなる 恐怖するほどの感覚 俺はなす術もなく彼を受け入れるしかない 受け止められるはずがない激しさと快感はどこにも零れる事なく俺の中で爆発した 身体中を震わせながら 俺は思いっきり射精した 死ぬ、って言ったかも よく覚えていない とにかくその深過ぎる絶頂感を叩きつけられて 俺の身体が変化した……多分 ずっとイきっぱなし 大森さんにもイカされる 突かれる度に全身が勝手に痙攣してイく 終わりがない 壊れる、って言ったと思う 声になってたかは不明だけど 知らなかった快感を教え込まれて 注がれたことがないほどの奥に射精された やけどするかと思うほど熱く感じたのは錯覚だろうか 大森さんが俺から出ていって 俺は指ひとつ動かせないほど脱力する なのに休む間もなく 殺す気なんですねと言いたくなるほど激しくペニスをしゃぶられる 散々使われたあそこを指でかき混ぜながらのディープスロート 俺は背中が浮き上がるほど痙攣しながらイキまくり 最後の一滴まで完全に吸いつくされた 精も根も尽き果てるってこういうことかぁ…… 「……やだって言ったのに……」 「やだったのか?」 「死ぬかと思ったんだよっ!?」 「……ごめん。嫉妬した」 「へ?」 元々エッチの直後は動きたくない派 そんなポリシーをなしにしても動けない ようやく落ち着いて さすがに文句を言う俺の頭を撫でながら 大森さんが目を逸らす 「嫉妬って何」 「王子様に」 「なんで!?ヨユーだったじゃん!好きにしていいって!」 「それはお前、ただの強がりだ」 「そうなの!?」 大森さんは鼻からでっかいため息をついて 頭をガリガリ掻いている 王子様に嫉妬って……どっちの? 「お前がさ……昔から俺のことキラキラした目で見てさ。大森さん、いい身体ですね!憧れる~とか、大森さんっていつも余裕ありますよね、大人って感じ~とか。そういう事言ってただろ」 「うん……」 好きだって言えなくても そういう事はちょくちょく言ってた気がする 「だから俺はムキになって身体鍛えて、すっげ焦っててもそういうのを見せなかったの。お前がそういう男が好きなのかなって思ったから」 「好き……なんです。そういう男が」 大人で優しくて逞しくて頼りになる人 大森さんみたいな人 「だから王子様の話聞いても、そんなジム辞めちまえ!!なんて言えなかったの」 「言いたかった?」 「言いたかったさ。本当に辞めさせたいわけでもないけど、一応それはお前、妬くだろ」 「……ごめんなさい」 「いいとこ見せたら俺の事もっと好きになるかと思ったら、先にジム行ってくるって言うし。無駄にホームラン打っちまったよ。ようやく休みの日のデートなのに話は全部王子様の事だし。しかも超嬉しそうに。あーこれはこいつ全然わかってねぇなって。いつかバレんならもうがっつり本性見せてやろうと思って」 「本性!?」 「俺はすっげ嫉妬深いぞ。お前のこと、独り占めしたくてウズウズしてる」 「あの、俺、もうずっと大……悠己一筋だから。そりゃちょっと寄り道しちゃったけど、悠己しか好きじゃないから!」 「俺も和弥が好きだよ。どれぐらい好きか、飯食ったら実地で教えてやるよ。思い知れ」 「もう十分ですっ!!」 俺の恋人はものすごく嫉妬深いらしい そのヤキモチを下半身で俺に伝えようとする大人気なさ 逞しいのは身体だけじゃない絶倫ぶり いつか抱き潰されるかも!? 大人で優しくて頼りになって逞しい 間違いなく理想の人だけど思ってたのとちょっと違う やっぱり俺は見る目がないみたいだ 「……好きだけど」
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