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まだ学校へ残っている生徒へ帰宅時間を
知らせるチャイムが閑散とした教室に
重々しく響いた。すっかり騒々しさが
無くなってしまった教室に1人佇んで
いる僕は、窓の外を見つめていた。
…いつからだろう、理由もなく
小さなことで死にたくなったのは。
いつものように、窓の外に不思議な
引力を感じて、ふと窓に手をついた。
ぽつん、ぽつん、とゴマみたいな
大きさになった人が所々歩いている。
…帰ろ。
荒々しく肩に鞄をかけ、教室を出る。
僕以外は誰も居ない窓から廊下を
自分のペースでゆっくりと歩くと、
何だかこの世界で1人きりになって
しまったような感覚に襲われた。
それを本当にそうだったらよいと
思っている僕は酷い人間なんだろうか。
…ああ、でも彼もいなくなるのか。
そんな風に思う自分に首を傾げた。
僕、寂しいのかな。彼さえ居なければ、
って、いつもそう思ってるのに。
夕日の差し込む階段を降りていると、
校庭で楽しそうに談笑している彼が
目に入った。一緒に居るのはそういえば
なんか見たことあるかもしれないくらい
の認識をしている男子生徒だった。
…今日はあの人と帰るのかな。
別に怒ってないし、
悲しくもないけど、
…なんか、泣きたくなった。
でも、1人で帰れるなら彼と歩幅
合わせなくていいし、話題探さなくて
いいし、愛想笑いする必要もない。
うん、その方がずっと楽だ。
隣に彼も居ないのに、僕は口に何の
意味もない笑みを浮かべた。あれ、別に
愛想笑いする必要ないのに。
僕はそう不思議に思いながら帰った。
瞳から零れた雫は何というんだったか。
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