2人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなある日、茉莉花先輩が部活にきた。
茉莉花先輩が道場に入ってきた瞬間、変な空気になった。
「え?来たの?」みたいな…。
みんな茉莉花先輩をチラッとだけ見て向き直り、黙々と練習準備をしていた。
何より違ったのはあの取り巻き組、土屋先輩と葉月先輩がすぐに駆け寄らなかったことだ。
そんな道場の雰囲気は茉莉花先輩の予想とは大きく違ったようだ。
部長だけが茉莉花先輩に近づいて
「やっときたか!えらいえらい。」
とニコニコして言った。
茉莉花先輩は何も言わなかった。土屋先輩達は自分の支度が終わると茉莉花先輩のとこへ行って、的前に立ちなよと誘っていた。
でも茉莉花先輩は、「えーダルいし。体調微妙なんだよねー。」
じゃあ何しに来たんだよ。その場にいたかなりの人数がこう思ったと思う。
でも部長や土屋先輩と葉月先輩は「せっかく来たんだから」とかなんとか言って励ましていた。
その時。
「的前立たない、ゴム弓すら引かないならなんのために来たの?」
みんなの気持ちをあっさり言ってしまったのは、的を付けて的場から戻った依田先輩だった。
依田先輩は続けた。
「大会に出なくても出来ることがあるでしょう。みんな集中して練習してるのに、チヤホヤされたいだけなら帰ってほしい。」
最初のコメントを投稿しよう!