イケメン部長

15/22
前へ
/41ページ
次へ
そんなある日、茉莉花先輩が部活にきた。 茉莉花先輩が道場に入ってきた瞬間、変な空気になった。 「え?来たの?」みたいな…。 みんな茉莉花先輩をチラッとだけ見て向き直り、黙々と練習準備をしていた。 何より違ったのはあの取り巻き組、土屋先輩と葉月先輩がすぐに駆け寄らなかったことだ。 そんな道場の雰囲気は茉莉花先輩の予想とは大きく違ったようだ。 部長だけが茉莉花先輩に近づいて 「やっときたか!えらいえらい。」 とニコニコして言った。 茉莉花先輩は何も言わなかった。土屋先輩達は自分の支度が終わると茉莉花先輩のとこへ行って、的前に立ちなよと誘っていた。 でも茉莉花先輩は、「えーダルいし。体調微妙なんだよねー。」 じゃあ何しに来たんだよ。その場にいたかなりの人数がこう思ったと思う。 でも部長や土屋先輩と葉月先輩は「せっかく来たんだから」とかなんとか言って励ましていた。 その時。 「的前立たない、ゴム弓すら引かないならなんのために来たの?」 みんなの気持ちをあっさり言ってしまったのは、的を付けて的場から戻った依田先輩だった。 依田先輩は続けた。 「大会に出なくても出来ることがあるでしょう。みんな集中して練習してるのに、チヤホヤされたいだけなら帰ってほしい。」
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加