イケメン部長

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道場の全員が、残された依田先輩に注目して固まっていた。 注目の中、依田先輩は短く息を吐くと何もなかったように支度を始めた。それをきっかけに他の部員も練習の支度に戻った。 でも、チラチラと視線を送り合っていた。特に一年は…。 いいんだよね?練習始めても。部長行っちゃったけど。依田先輩になんか言ったほうがいい?つか土屋先輩達は茉莉花先輩追わないんだ。 いろんな感情が無言の道場に飛び交っていた。 その後顧問と師匠が来て、練習が始まった。 依田先輩はその日の練習、ほとんど当たらなかった。 師匠にも珍しいなと言われていた。 依田先輩はすごくイライラしているような、すごく悲しそうな、いつもの冷静な依田先輩とは別人みたいだった。 部長も茉莉花先輩もその日は部活に戻ってこなかった。 「部長は休みか?連絡もしないで…。ったく。」 顧問が呑気に言っているのに、みんな敢えて反応しなかった。 先生が来る前とんでもない修羅場があったせいです。とは言えなかった。
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