イケメン部長

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練習が終わると男女別の部室で袴から制服に着替える。 部室は弓道場の真横にあって近いからいいんだけどとても狭いのでいつも三年生から順番に着替えていた。 三年が着替えている間、二年と一年は部室の前で片付けをしたり、雑談しながら待っている。 二年は二年で、一年は一年どうし、なんとなく別れていた。二年が部室の入り口近くにいるので一年は少し離れた部室の窓の下にいた。 二年達は中の三年に気遣って小声だったけど、それでも「依田先輩こわ」とか「茉莉花もうやめるんじゃない?」とか「部長キレてたね」とかこの時間が待ちきれなかった様子で喋っていた。 土屋先輩と葉月先輩はその会話には参加せず二人ともスマホをいじっていた。 私達一年も二年と同じように今日見た修羅場についてしゃべりたかったけどそれどころではなかった。 窓から…。部室の窓から中にいる三年女子達の会話が途切れ途切れに聞こえてきたからだった。 盗み聞きなんて悪いと思いながらも興味には勝てずスマホを触るフリなんかしながら三年生の会話を聞いていた。 「依田ちゃんが言ったこと間違ってないよ」 「茉莉花のことはみんなうんざりしてたし」 由紀先輩と柚香先輩が依田先輩を慰めてるようだった。 依田先輩の声は聞こえなかった。なんかしばらく慰めワードが続いて…。 「依田ちゃんは拓海と別れて正解だったと思うよ!あんなやつ!」
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