イケメン部長

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え?待って。 スマホを見ていた私達は思わず顔を上げてお互いの顔を見合わせた。 拓海というのは部長の名前だ。 私達四人は大声出したいのを我慢して、でも全身を無意味にバタバタ動かして驚愕の事実を知った衝撃をやり過ごした。 すると、あ!と言った陽菜がすごい勢いでスマホを打ち始めた。 直後他の三人のスマホが鳴った。一年女子で作ったグループラインだった。 『部長と依田先輩って付き合ってたの?』 『茉莉花先輩の前にってこと?』 『まさか、期間被ってないよね』 声を出して会話はしなくても、ラインの着信音が立て続けになりすぎることに気づいてすぐに音を消した。 三年達は声が漏れてることにはまだ気づいていないみたいで、さらに会話が続いていた。 「もう吹っ切れてたけど…。さすがにさ。あんなあからさまに向こう庇うとこ見るとね。」 依田先輩の声だ。 私達は顔を見合わせてまたすぐにスマホに向き直る。 『マジかー』 『せつないんだけど』 『部長は茉莉花先輩に乗り換えた?』 《“引くわ“のスタンプ連打連打連打…》 『依田先輩と部長って、意外すぎん?』 『茉莉花先輩とタイプ違いすぎる』 《“それな”のスタンプ連打連打連打…》 依田先輩はどちらかと言うと地味な顔で、髪もセットなんかせずただ一つにまとめて結んでいるだけだった。いつも髪を触って鏡を見ている茉莉花先輩とはまるで違う。 けれど依田先輩は背が高いモデル体型だから、部長と並ぶと絵になる気もした。
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