イケメン部長

21/22
前へ
/41ページ
次へ
部長と二人道場に向かって歩きだした。 何を喋ればいいのか必死に考えていると 「はあーーーー」 あからさますぎる部長のため息。これは…。聞くべきなやつ。っていうか聞いてくださいって言われてるようなもん。 「部長、なんか疲れてますね」 「わかる?昨日あの後さ、茉莉花が部活辞めるとか言い出してさ。説得してたんだよね。夜もラインしたり。気づいたら2時だったわw」 「あ…。そうなんですね」 部長と茉莉花先輩が付き合ってることは知らない体でいいんだよね?自分で自分に確認する。 部長は相当疲れてるのかそう言ったきり喋らなかった。たださっきの自販機で買ったお茶を片手で上へ放り投げてキャッチして放り投げてキャッチしてと器用に繰り返していた。 私相手に喋ることがなかったのかもしれない。 でもそれは私も同じで、全く接点のないイケメン部長と何を話せばいいのかわからない。 「えっと、で、茉莉花先輩は部活辞めちゃうんですか?」 本心を言えば茉莉花先輩うるさいし辞めてくれと思ってたけど…。とりあえず聞いてみた。部長がペットボトルを眺めながら答える。 「うーん。まだわかんないかな。依田がいる限り行かないとか言ってるんだよねー。オレもなんか悪者扱いだし。むちゃくちゃだよね。わがままなんだよ。茉莉花は。」 えっと…。部長?愚痴っちゃってますけど大丈夫? タガが外れたようで部長の愚痴は止まらない。 「つか依田もさ、せっかく茉莉花が来たのになんであんな言い方するんだろ。一応先輩なわけだし?励ましてあげてもいいじゃん?…もー。なんで仲良くできないのかなー。」 大きなため息をつく部長に言いたかった。 『二人が仲良くできないのあんたのせいだからー!』 言えるわけないけど。 今聞いてる話を一刻も早く陽菜に話したかった。 「でもオレ達3年は次の大会で引退だし、依田もオレもいなくなるからそしたら茉莉花来るようになるかもね。」 え、なにそれ。いやなんだけど。 私の心中などお構いなしの部長のおしゃべりは止まらない。 「今年の一年はいーよね。男女みんな仲良さそうだし。依田みたいに性格キツいやつもいなし、茉莉花みたいなわがままもいないし。」 多分元カノと今カノを同時に愚痴ってますよこのイケメン。誰か助けて…聞いていられない。しかも一年男女仲が良かったことなんてないよ。あの男子達との会話なんて必要最低限だわ。何もわかってないだな部長。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加