完璧な先輩

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「あの、お店のホームページ見たんですけど…。メニューとか、はやく覚えようと思って。」 我ながらうまく嘘ついたと思う。本当は芳賀さんの写真がないかなって期待していたからなんだけど。 「そうなの?佐藤さんまじめだねー!そんな人初めてだよ。」 「それで、ドリンクの写真がたくさんあったんですけどレモンのサイズが…。」 「そうなんだよ!」 わっ。芳賀さんの急な大声にビックリした。 「あのレモンは店長が切ったんだよ。オレもその写真撮った時その場にいたんだけどさ、店長は少し大きいくらいの方が見栄えがいいとか言ってさー。あれじゃ見栄えがいいどころかグラスとのバランスが悪いよねぇ?」 「うーん。確かに…。」 「でしょ?店長そういうセンスねーんだよなぁー。」 芳賀さんがしみじみ言った。 店長はセンスがないということに同意していいのか困っていると、芳賀さんが何か含みを持たせたような表情で聞いてきた。 「ね、あのホームページにオレ写ってたのわかった?」 手!手です!あれから何回も何回も見ました! でもさすがに引かれそうなので一度とぼけてみる。 「えー、全部見たけど人は写っていなかったような…。」 「佐藤さーん。本当にちゃんと見たんですかぁ?」 腕を組んで覗き込むようにこっちを見る芳賀さん。悪戯ぽい笑顔で引き上げられた口角に尖った八重歯が見えた。なにこの笑顔!そんなふうに言われてもなにも反論できないし、する気もないけど。それに何か言おうにもドキドキして口が動かない。
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