完璧な先輩

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カシャカシャと音を立てるチリトリを持った芳賀さんについていく。狭いキッチンを通って、奥の冷蔵庫の前を通りすぎて扉を開けると、段ボールとか、空のビールケースとかが積み重ねて置かれた物置みたいなスペースになっていた。電気をつけても薄暗い。一番奥の汚れた古いゴミ箱へ芳賀さんがグラスをガサっと流し込んだ。 「これでよし!」 芳賀さんが明るく言った。 ホールから離れているからか静かで、営業中のお店とは別次元みたいな場所だった。 慣れてきて、調子に乗って出来もしない事をやろうとして失敗したことが恥ずかしかった。 市川さんの「うわっ」も後から地味に効いてきた。何より芳賀さんに迷惑をかけて申し訳ない。 いろいろと考えてまた涙が出そうになる。
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