完璧な先輩

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慌ただしく電車を降りて改札を出ると市川さんに会った。 市川さんも今日シフト入っているんだ。 目が合ったのでペコっと頭を下げると市川さんは「おつー」とだけ言った。 あれ以来、市川さんは怖くて苦手だった。 女の人だけど、かなり年上だし、なにを話していいかわからない。 しばらく並んで歩いていると市川さんが首を傾げてきいてきた。 「あれ?佐藤さん今日シフト入ってた?」 「芳賀さんと代わったんです。急用ができたとかで…。」 市川さんが一瞬変な顔になって、うわーと小さい声で言った。 何かおかしなこと言ったのかな、私。 芳賀さんがのことが好きだから代わったとか思われた?芳賀さんを好きなこと、バレた? 私がドキドキしていると、市川さんは真剣な顔で言った。 「今後は芳賀の電話には出ない方がいいよ。」 自分がなぜそんなことを言われるのかわからない。 「アイツ今、台から離れられないだけだよ。」 ますます何を言われているのかわからない。 「芳賀のやつね、パチンカスなんだわ。」
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