イケメン部長

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うちの部は決して強くはなくて、3年女子の依田先輩だけが個人戦でなら活躍できるレベルだそうだ。弓道では、団体戦は5人1組でチームを組むけど、他が全然なので団体では勝てない。ちなみに依田先輩はあの日の「茉莉花うざ」の声の主でもある。 私は依田先輩が指導当番の日は楽しみだった。 「ほらまた肘が下がってる、後ろに引く感じで」 依田先輩は1人1人の癖や問題を見抜いて解決策を教えてくれた。 依田先輩の指導の後はみんな的中率が上がった。 当たると先輩もいっしょに喜んでくれた。 他の三年生達もいつも熱心に教えてくれていい先輩ばかりだった。部室でいつもお菓子を分けてくれる由紀先輩、テスト期間には勉強まで教えてくれる柚香先輩。  もちろん部長が指導当番の日だってあった。部長は思っていたよりずっと気さくで優しい人だった。1年がやるはずの師匠へのお茶準備を「やっとくよ」と引き受けてくれたり、1年男子達とはよくゲームの話で盛り上がっていた。 テスト前、他の三年が部長に 「いーよな、お前は頭いーから」 と言っていたからたぶん頭もいい。ほんと、なんで茉莉花先輩かなー。   陽菜以外の2人の1年女子とも少しずつ仲良くなった。 2人は同中で中学ではテニス部だったそうだ。 「ねね、やっぱ2人も部長目当て?」 「まー多少は?でも部長ってさ…。」 「茉莉花先輩?」 「だよね?付き合ってるよね、あの2人!」 「茉莉花先輩かわいいからねー!」 2人が茉莉花先輩をどう思ってるかはまだ未知なので性格最悪というところには触れないでおいた。 そう言うところも含めて陽菜とは息が合っていた。
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