イケメン部長

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先輩達の練習時間を確保するため、2年生が指導当番の日もある。 茉莉花先輩の日は私にとって最悪だった。 「茉莉花、弓道とかよくわかんないんだよねー」 最初に言ったのがこれ。 確かに、茉莉花先輩が的中してるのはほとんど見たことがなかった。 「今日はおしゃべりデイにしよっ!練習とかダルいし」 は?何言ってんだこいつ。とても口に出せないけど。       この時期の1年は毎回的前に立たせてもらえる訳ではなくて、ほとんどがゴム弓を引いたり、的ではなく目の前の巻き藁に打つ練習だった。だから練習するのは弓道場内ではなくて、駐輪場の空いたスペースで、サボっていても他の先輩達にはバレない。 戸惑う私たちを前に茉莉花先輩は袴に構うこともなくコンクリートの地面に座ってしまった。私たちも釣られて座った。 それからはしょーもない話ばかり。 一年の出身中学訊いて、「そこのサッカー部の人、なんて子だったかな?茉莉花告られたことあるー」とか「え?〇〇中?茉莉花と同じじゃーん!茉莉花のこと中学の頃から知ってたの?うそー!」とか。 スクールカースト最下層の残念な一年男子達は茉莉花先輩とおしゃべり出来て見たこともないほどニヤけてる。私達、女子はひたすら愛想笑い。 1年に好かれていると当然のごとく思っている茉莉花先輩はとんでもないことを言い始めた。
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