イケメン部長

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イケメン部長

中学時代は部活とかどうでもよくて、美術部の幽霊部員だった。 中学校の美術部は半分が絵が好きなガチ勢、半分はサボるために入った私みたいな子達。たまに行ってもサボり組はおしゃべりするだけ。顧問に注意されたら絵を描いたり、粘土捏ねたり。そんなだから上手になるわけないし、上手になりたいとかなかった。 でも部活に熱中する友達を見るとうらやましいとも思っていた。 だから高校に入ったら何か夢中になれる部活に入ろうと決めていた。 高校に入学して、すぐに部活説明会があった。各部の部長が1年生の前で部活の紹介をする。 「やば、七美見て!あの先輩イケメン!」 入学式で、席が前後になったことをきっかけに仲良くなった陽菜(ひな)が私に耳打ちしてきた。 壇上にいるのは弓道部の部長だった。 すらっと背が高く、袴姿なこともあってイケメンオーラが遠目にもわかる。手にした紹介文を淡々と読み上げている。原色のユニフォーム姿でやたら大声、早口の他の運動部とは雰囲気がまるで違う。
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