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「ねーねー何してんの!」
ソファーに沈む背中に後ろからぎゅっと抱きついたのは、柊木結翔。
「うわっおいっ!」
ソファーでスマホを横にして画面を連打しているのは山上想太。
現在お家デート中のいわゆるゲイカップルだ。
さて、ゲーム真っ最中の想太に結翔が抱きついたんだから想太はたまったものじゃない。
「何すんだお前っあっ!」
結翔を引き剥がそうと目を離した、想太のスマホ画面には『GAME OVER』の文字。
一瞬、シーンとした空気が降りる。
「ゆーいーとーくん?」
想太が黒い笑みを浮かべて結翔を見る。
ひぇっと一瞬ひるんだ結翔は口を尖らして下を向いた。
「だってそーたが構ってくれないから…」
言いながら上目遣いで想太を見る。
表情ひとつ変えずに想太が口を開いた。
「ちぇっ 仕方ねーなぁ」
言いながらスマホを置き、結翔の頭に手を伸ばす。
結翔が一瞬ビクッと肩を揺らし身を引いた。
「あ、ちょ」
想太の手が行き場をなくして寂しそうに宙に浮かぶ。
体を固めたまますすすっと結翔がまた身を引く。
そんな結翔に想太がちょいちょいっと手招きをする。
「ほら、おいで。」
子猫のような目で想太を見つめる結翔。
「ここ。来て。」
想太がぽんぽんっとソファーの自分の隣を優しくたたく。
結翔がちょこちょこっと動いて近づく。
結翔に合わせて想太もソファーに座り直す。
すとん、と結翔が想太の横に座った。
またも想太が結翔の頭に手を伸ばす。
ぽん、ぽんと頭を撫でる。
結翔が撫でられるまま、気持ちよさそうに目を瞑った。
そんな結翔を想太が愛おしそうに見つめる。
(猫みてえ…)
想太がふっと撫でる手を止めた。
結翔が目を開く。
「そーた?」
じっと見つめ合う2人。
想太が頭に置いていた手を結翔の顎にうつした。
「ん…」
結翔が小さく声をこぼす。
次の瞬間、想太が親指と人差し指で結翔の頬を鷲掴みにした。
へっ?と結翔が間の抜けた顔をする。
ふっ 想太が吹き出して少し意地悪い顔で言う。
「顔ちっさ」
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