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陶器人形の様な白い肌に赤い口紅が際立っている。眠っているだけではないかと疑ってみる。
だが、呼び掛けても反応はなく、体の温もりは失われていた。
雪の上には長い黒髪が美しく広がっている。本当に魂が抜けると人形にしか見えない。
不思議と生々しい感じはしなかった。
僕は彼女の手をとり、両手の指を絡めて胸の上で組んであげた。
そして彼女の横に横たわる。
真っ暗な空から雪が静かに降り注ぎ顔の上で溶けていくのがわかる。しばらく暗闇の雪を見つめ続ける。
体温を失った人形の顔には少しずつ雪が降り積もっていく。
朝になれば雪が何もかも埋めて消してくれているだろうか。
苦しかった過去も白く埋め尽くされ、誰にも見つかることがなければいい。
目を閉じて夢を見よう。
来世でまた君に出会う夢。
アンドロイドではない本当の人間の君と結ばれる夢。
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