EP.1 一寸先は、光

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それからあっという間に数時間が経過した。 当初の出逢いからは嘘のように、二人はすっかりと打ち解けていた。 酔いも手伝ってなのか、お互いかなり饒舌だった。 「彼女の今年の誕生日に、何渡したの? 」 「当たり馬券」 「っ? 」 「五万円分」 「……」 深沢は堂々とした顔でそう答えた。 「フカっちゃんてさあ。恋の偏差値、皆無(かいむ)だよね」 痛いところを突かれてしまった深沢は、がっくりと肩を落とした。 そんな彼を柏木が慰める。 彼の背中に手をあて、よしよしと撫でてやった。 「浮気さえしなけりゃ、それで大丈夫だと思ってたんだよなー」 「それもう典っ型的なダメ男じゃん! 釣った魚には餌やらない系だ。彼女に同情しちゃうよ」 そう言い終わると同時に、柏木は腕時計にチラリと目をやった。 「あら。そろそろ閉店か」
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