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タクシーを降り、柏木の家の前に着いた。
そこへすぐに入り込み、玄関の扉を閉めた途端、双方の身体はそのまま廊下へと雪崩れ込んだ。
柏木がリードして、深沢を上がり場の壁際まで追い込んだ。そして座っている深沢の腰の上にゆっくりと跨がる。
それから暫く見つめ合うと、柏木は自分の顔を勢い良く深沢の顔に持っていった。そして存分に口付けを交わす。今までにないくらい、お互いねっとりとした舌使いで相手に愛の全てをぶつけ合う。
ただのキスがようやく終わった頃に、二人の息は既に軽く上がっていた。
柏木はそのままの体勢で、深沢の頬に両手を添える。そして額と額をくっつけながら俯くと語りかけた。
「今日はフカっちゃんの気が済むまで何度でも抱いて。
フカっちゃんのこと、一生忘れられなくなっちゃうくらい……
めちゃくちゃにしてほしい。
僕のこと、これから先もずっと忘れないでいて。お願い」
深沢はそっと目を閉じると、噛み締めるように口を動かす。
「忘れるもんか……」
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