魔法猫のオシマくん!

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「やること地味にセコいな!?いや最後のは微妙に犯罪だけど!!」  なんつー迷惑な。しかし、人を洗脳して思考を変えさせようなんて連中を野放しにしておくわけにはいかない。俺はモッチタリアに頼んだ。 「まずは目の前の山田サンの洗脳を解くぞ!俺を魔法少女に変身させてくれ!」 「オーケィ!」  モッチタリアは、頭のてっぺんから謎のハート型ステッキのようなものを出現させた。そして、甲高い声で叫んだのである。 「ニャンニャンニャンタラ、カンタラウンタラ!魔法少女になーれ!」  呪文、それでいいんですか。  心の中で盛大にツッコんだ次の瞬間、俺の全身をピンク色の光が包み込んだ。そして。 「どわああああ!?こ、この俺がピンクのフリフリのドレス姿に!?」  俺は、魔法少女ならぬ魔法猫になっていた――魔法少女っぽい、ピンクのフリフリドレスを着せられて。  動きにくい。めっちゃ動きにくい。そして暑い。スカートがタ●に擦れてすっごくむずむずする! 「な、なにやつ!?」  ここでようやく、山田主婦がこちらを振り返る。にっくき猫だと気づいてか、その顔が般若のように歪んだ。まずい、このままではぶっ飛ばされる。だが、その瞬間俺のピンクのドレスが発光し始めたのだった。そうだ、必殺技は自動で出る、とか言っていたような、いなかったような。  その刹那。 「ミラクル・ニャンダフル・ビィィィィィム!」  勝手に謎の技名が俺の口から飛び出した。  同時にぴっかーん!とドレスが放つピンク色の光が、侵略者に“犬過激派”にされていた山田主婦の胸を貫いたのだった。多分、人間には俺の必殺技名など、ただの“にゃああああん!”にしか聞こえなかっただろうが。 「あ、あああ、あ……」  光に貫かれた女性は、呆然としたようにこちらを見た。そして。 「あ、ああああああああ!な、何て可愛い猫ちゃんなのおおおおおお!」 「ぎゃあああああああ!?」 「私が間違ってたわ、猫ちゃんも可愛いわよね。あーんなんでこんなフリフリのドレス着てるのおおお!?」 「や、やめろやめろやめろ、ほおずりすんじゃねえええ!」  洗脳が解けたらしい主婦は、一気に猫大好きになっていた。俺のほっぺにほおずりをかましてくる山田サン。呆然としている高橋サンの後ろで、ふぁあああ、と大あくびをしているのは彼女の連れていたパグである。 「んあ?なんの騒ぎ?」  こいつ、この騒動中、ずっと寝ていたらしい。 ――お、大物過ぎじゃね……?  ああ、顔が化粧デベッタベタになるう。  誰か俺を助けてくれ、と心の底からそう思った俺なのだった。  ああ、確かに猫派の存続の危機だった、それは間違いない。でも。 ――やっぱりこれ、オッサン猫がやるのはおかしいと思う!
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