被虐は別腹

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被虐は別腹

雨の日は車で送ってもらう事が多い。 私が相手に会う目的は明白なので、雨だろうが風だろうが事が致せれば送迎の有無は問わないのだが、雨が降ると車持ちからの連絡が多くなる傾向は、私が心掛けてきた残心の賜物と言っても過言ではない。 今日は不動産成金社長が、営業用のライトバンで送ってくれた。 出会った時は、ベンツだのフェラーリだの厳つい外車で登場して、高級店でワインを開けて、折角事に及んでも一辺倒の成金マウントでオラオラしてくるばかりだったので、 〝なんか面倒臭い…〟 と、事後は一切考えない、もう御代わりしないモードで無理矢理被虐の扉をこじ開けてみたら、以来超覚醒を起こしてしまい、夜間のみならず人生価値観180度転換し、優良、善良経営者として歩み始め、同時に私の愛玩具としての活躍が著しい。 「本日もありがとうございました。次回機会が頂けましたら、又存分に励ませて頂きます」 「その感じはその時だけにして下さいよ、こちらこそありがとうございました笑」 「ははは、ちょっと名残り惜しくてね、又よろしくね笑」 「楽しかったです、後でラインしますね」 ライトバンが 〝ブーン〟 と走り去り、門を曲がるタイミングで軽く手を振る。 〝今日も風呂に入りながら整理整頓だな〟 とか思いながら。 前のターンの終了は、次のターンの始まりでもある。 2ターン目以降の御代わり判定はかなり厳選していて、総合点というよりは特化型の特殊スキル、独自性に対して評価をおいていて、その甲斐あってか全ての御代わりさん方々がそれぞれに価値を持ち、別々の面白味を示してくれている。
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