羊羹師匠

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書斎で私も原稿を書いておりましたので、ずっと白井さんの相手をしている訳にも行かず、白井さんは食堂へ行ったり、玄関から外に出て表を見てみたり、また書斎で戻って来て私に話し掛けたりと、本当に落ち着かない状況です。 「煙草屋を見て来ましょうか」 私が腰を上げると、白井さんはそれを手で制されます。 「いえ、要君はご自分の原稿をお願いします」 私も最近、少しですが白井さんの出版社のお仕事を戴いております。 それも白井さんが担当しておられるので、私の手を止める訳にも行かないのです。 「私が見て来ますので…」 白井さんは慌ただしく書斎を出て行かれました。 やれやれ…。 先生が逃亡されるのはいつもの事なのに…。 私は出て行かれた白井さんの足音を聞いて可笑しくなり笑ってしまいました。
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