羊羹師匠

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私は慌てて、外に出て床下を覗き込みました。 確かに今朝までいた猫たちの姿がありません。 私の後ろで犬のシズカがクンクンと鳴いております。 何処に行ったんだろう…。 確かにもう子猫も少し大きくなり、床下を歩き回っていました。 縁側の戸が開き、先生が顔を出されました。 「猫が居なくなったんだって」 先生は縁側に置いた履物を履いて庭に出て来られました。 先生も床下を覗かれます。 そして今朝置いた煮干の入った皿を手に取られました。 煮干は綺麗に食べておりましたが、猫の姿は見つけられませんでした。 「大工が出入りしてうるさくなったから、居心地が悪くなったのだろう」 先生の表情は少し寂し気にも見えました。
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