心霊写真アプリ

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僕はイケメンの友達と肝試しをするため幽霊が出ると噂の廃墟に忍び込むことにした。 「単なるボロボロの建物なだけじゃないか」 「そんな目に見えて幽霊が出るはずないだろう」 「とりあえず記念に写真でも撮影して帰ろうぜ」 「そうだな」 タイマー撮影をして写真を見たら、顔が焼けただれた女性の幽霊が友達の肩に寄りかかっているではないか。 写真を見た友達は笑いながら「お前、心霊写真アプリで加工しただろう」と、まるで信じていない様子だったので、僕は本物の幽霊であることは黙っておくことにした。 数日後、友達はバイクの事故で肩を怪我して入院することになった。お見舞いに行くと友達は明るく「お約束の呪いにかけられちゃった系?」などと冗談交じりに僕に言う。 心配になった僕は、お祓いで有名な神社に相談をしに言ったが「供養するので写真のフィルムを焼きなさい」と言われるしまつ。 デジタル画像をわざわざプリントアウトする気にもなれず、かといって写真を撮影したスマホを焼くわけにもいかない。 しかたがないから僕は画像加工アプリで幽霊の写っている個所だけを修正して削除することにした。そして修正した廃墟写真を友達に転送すると思わぬ意見が飛び出してきた。 「こんな普通の写真だと面白くないじゃないか!心霊アプリで撮った写真を送ってくれよな!」 本物の幽霊だと信じていない友達は、今回の事故も心霊現象として周囲に自慢したいらしく、幽霊を削除修正した写真が気にくわないらしい。 しかたがないので、僕は友達が気に入っているアイドルの写真を加工して廃墟の写真と合成して再転送したら友達は「アイドルの顔した幽霊だなんて最高だな!」と大喜びだった。 一昔前ならば心霊写真も恐怖の対象だったかもしれないが、僕らの世代にとっては幽霊さえもハッピーエンドに導くことができるのかもしれない。 END
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