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「もう夜遅いからゴロゴロして寝なさいよ」
母親が小学生の娘に言いつけると「はーい。どこにいるのかな?」と何かを探し出す娘。
「布団にいると思うわよ」
母親にいわれて娘は寝室に向かうと、布団で猫が丸くなっていた。
「ゴロゴロしますね」
娘はそう言いながら猫をなでるとゴロゴロと音が鳴る。
猫がノドを鳴らす「ゴロゴロ」音を聞くとオキシトシンが分泌され癒し効果があると科学的な検証が世界的に進められたことで、一家に一台のネコ型ロボットの支給が政府より無償で提供されていた。
いっけんすると普通の猫にみえるが実はAIを搭載したロボットであり、子供の自殺防止や親の虐待防止に効果があるとされ人々は、このネコ型ロボットの「ゴロゴロ」音を毎日聞くことが義務づけられている。
猫の眼球を通してヘルスケアセンターへとデータが送られ、それをモニターでチェックしている医師達。しかしよくみると医師達は猫耳をつけているではないか。
「狂暴なサル人間も、ゴロゴロ音を聞くだけで静かになるよう洗脳できているニャ」
「猿から進化したサル人間に代わりに、これからは猫から進化したネコ人間の時代が到来するからニャ」
「自殺や虐待で自らの種族を滅ぼす可能性があるとは、さすが元は猿だけはあるニャ」
「傷ついた心を癒して保護してあげるのが我々ネコ人間のやさしさだからニャ」
猫耳をした医師達は会話しながらゴロゴロ、ゴロゴロとノドを鳴らし、その音が響き渡る。
END
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