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1ー6 腐女子
「ちょっと、ま」
抗う間もなく、俺は、テオに獣舎の床へと押し倒されて着ていた白いシャツをはだけられた。
「んぅっ!」
ぴちゃぴちゃと音をたててテオが俺の首筋を舐める。
俺は、テオにざらつく舌で舐められて、体に電気が走っていた。
なんだか、体の奥からぞくぞくと痺れてきて、体の力が抜けていく。
熱い。
「あぁっ!」
思わず声が漏れて、俺は、頬を熱くする。
猫の魔族であるフィオルの食料は、魔力だ。それも、偏食が多く、気に入った相手の魔力しか食べようとはしない。
だから、フィオルは、飼育することが難しいといわれている。
テオは、子猫の頃から俺が魔力を与えてきたせいか、俺の魔力しか食べない。
だが、最近、テオは、魔力を食う際に妙に俺の体に触れたり、服を脱がせようとしたり、首もとに噛みついてきたりするので、俺は、手を焼いていた。
今日は、ついには、俺の下半身を暴こうとしてきた。
「あっ!だ、だめっ!テオっ!」
俺が強く拒むと、テオは、ちっと舌打ちすると、俺の唇へとキスすると、俺の舌を吸った。
俺は、ただ、必死にテオにしがみついていた。
しばらくして、テオは、俺から体を離すと、呟いた。
「ちっ!邪魔が入ったな、ティル。今日は、このぐらいにしといてやる」
「ほぇっ?」
俺は、すっかり脱力してぐったりとしていた。テオは、そんな俺を抱き上げ獣舎から出ていくと、入り口で足を止めた。
「何の用だ?女」
「はいぃっ!」
獣舎の入り口のから中を盗み見ていた奥様が頬を真っ赤に染めて飛び上がった。
「あのっ!その、ごめん!邪魔して!」
「まったくな」
テオが奥様を睨み付けた。
「いつも、いつも、いいとこで邪魔しやがって」
そう。
テオの言う通り。
奥様は、いつも俺がテオに食われているところを覗き見ているのだ。
なぜか、お聞きすると奥様は、趣味だ、と言い放たれた。
奥様いわく、腐女子の宿命なんだとか。
腐女子とは、何か?
それは、奥様もまだ答す。
おそらく、ろくでもないことに違いない。
「で?何の用だ?女」
テオに訊ねられて、奥様がはっと息を飲んだ。
「そうよ!ティル、すぐに用意して!王城へ行くわよ!」
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