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もっと・・・・・・
「嗣貴頼む、今日はそばにいて欲しい」
陽大は家に着いたその車内で、運転席に居る嗣貴へ願いを乞う。
「そのつもりで直帰にしてもらった。むしろそばに居させろ」
「はっ、デキた幼なじみは違うな。じゃあほら、行こう」
安堵して笑を零し、車から降りればマンションのエントランスへと向かう。カードキーをかざして中へ向かう為のドアが左右に開くのを待ち、後ろの嗣貴へ右手を差し出す。
「手、出せ。これでも我慢してるんだ、せめて手くらい触れさせて」
「何を我慢してるって?手に触れたいだなんて、流石に二度も出て限界?」
ブツブツと言いながらも差し出された手を握ってはコツコツと革靴を鳴らし歩いていく。
その繋いだ手からは暖かい温もりがじんわりと伝わってくる。
“俺だって限界だ、心配かけさせやがって・・・・・・”
そして嗣貴の思っていることが、手から伝わり直接脳内に伝達される。その思いに思わず答えてしまった。
「心配かけてごめん、嗣貴の限界ってどういう意味?」
「は?・・・・・・あぁ、感じ取ったのか。厄介な能力だな」
「それ言われたら何も言い返せない・・・・・・」
「ごめんごめん。あんな姿二度も見て、男の俺も正気で居られると思うか?抑えているだけだ」
「抑えている?」
「まだ言わせるのか・・・・・・だから、幼なじみのお前に欲情してるんだよ、身体が限界ってこと」
「そういうことか、キスした仲だし何よりガイドの契約結んでるんだ、そういう気持ち隠すなよ」
「いや、表に出せるわけないだろ、会社でなんて尚更だ。なのにあの課長ときたら・・・・・・!」
しばらく話をしながら部屋に向けて足を進め時々呆れたようにクスクスと2人で笑う。
部屋の前に着くと再びカードキーでドアの鍵を解錠し、嗣貴を中へ入るよう促す。
「着いた、中へ入って」
「直線の廊下も話していたらあっという間だな。お邪魔します」
お互い室内へ入ると当然のように鍵をかける。そして陽大は2人きりになるのを待っていたかのように嗣貴を抱きしめ荒々しい息遣いで昂った瞳を向ける。
「嗣貴っ!もっと、もっと触れて!?お願い、嗣貴をもっと感じたい!」
縋り付くようなその瞳で見つめられ、懇願とも言えるその願いは嗣貴の脳内で都合よく変換される。
「・・・・・・それ、キス以上の行為をしていいってこと?」
「・・・・・・っ、はァ、ぅ・・・・・・んっ」
陽大はまるで、何か刺激を受けた時の様に身体の跳ね上がりと火照る顔、荒い息遣いで、少しの刺激で達してしまうのではないかと思うほど雰囲気も体の具合も出来上がっているように感じた。
「何に感じてるんだよ、そんな顔をさらけ出して。返事も聞こえない」
嗣貴は、そんな陽大を肩辺りと両膝裏を支えながら身体を持ち上げて横抱きにすると、自分の靴を脱いで部屋の奥へと進んでいき、見つけた寝台へ陽大の身体をゆっくりと下ろす。
「覚悟しろよ、俺はもう陽大を離さない」
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