0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
子猫が鈴を鳴らす時
美術館の絵の中の子猫は
もう何分もじっと絵を眺めている少女と目があった
少女は身動きひとつせずに
じっと子猫を見つめていた
子猫は少し恥ずかしくなって
少し居住まいを直しながら
品良くしゃなりと尻尾を揺らした
子猫の長い尻尾は
子猫を描いた絵描きが
特に丁寧に描いてくれた
自慢の尻尾
それでも少し足りない気がして
子猫は首の鈴をチリリと鳴らしてみた
子猫が鈴を鳴らすのは、
本当に気に入ったお客さんが来た時だけ
澄んだ音色の鈴の音を聞けるのは
特別な子だけだよ
子猫は思った
少女は相変わらずじっと子猫を見ている
あまりに熱心に見られるので
子猫は少し疲れてしまって
ちょっとだけうとうとうたた寝をした
子猫が小さくあくびをすると
少女もつられてあくびをして
革のソファに腰を下ろすと
スヤスヤと小さな寝息を立てました
午後の小さな美術館
最初のコメントを投稿しよう!