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雪の朝のホームは、混雑していた。よりにもよってラッシュの時間帯に、路線バスが止まってしまったんだろう。
人の多いところが苦手な私にとり、今日だけは、この人混みは好都合だった。
ホームドアなんて、まだしばらく導入されそうもない古い駅だ。この波に溺れてしまえば、きっと、誰も怪しまない。
電車の到着時刻まで、あと僅か。
待ちきれなくなって、誰に押されるでもなく、ふらりと足を踏み出す。
薄手のタイツの足が凍えて、薄れていく感覚が心地良い。
黒いブーツが白線を踏む。
いま、会いにいくからね。
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