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ある日、砂漠を歩けども、歩けどもお骨が見つからなかった。
四時間ほど歩きまわって、まったく見つからないのは初めてのことだ。
そのとき、空から何か赤いものがゆらりゆらりと降ってきた。
赤い骨だ。
火ばさみでつまんでみると、簡単にくずれてしまう。
手のひらでゆっくりとすくおうとするが、手に触れた途端砂のように崩れ落ちる。
やがて、赤いお骨は空から五月雨のように降り始めた。
大地が真っ赤なお骨に包み込まれる。異常な風景に私は尻もちをついてしまう。
「おーい、助けてくれ」
大きな声で叫びたいが、声がかすれてしまう。
お骨はまるで赤い血のように降り続けた。
五十キログラムのお骨を拾うまではゆるさないというかのように、男は現れなかった。
了
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