今宵の月

1/2
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「ひとりで月を見てはいけません」 と、良成は昔、母親に言われた。 なので良成(ヨシナリ)はひとりの時には、夜空を見ないようにしていた。 けれど、今夜はもうすぐ恋人の壱馬(カズマ)が来てくれる。 二人で、存分に月夜を楽しもう。 良成は、心をときめかせた。 ___ 「ああ…壱馬様、お待ちください…」 「待てぬ…すぐに、そなたが欲しい」 荒々しく着物を剥ぎ取られ、月を見る余裕もなく組みしだかれる。 「ああ…っあっ!お許しを…壱馬様…」 良成は霰も無い姿にされ、壱馬に玩具のように抱かれた。 ___ 壱馬には正妻があり、良成は男でありながら、日陰の身だった。 けれど、こうして満月の夜に壱馬が 訪ねて来てくれることを心待ちにして、日々を送っていた。 情事を終え、寝床で壱馬の胸に寄り添いながら「今宵は月が綺麗です」と良成は言う。 「そうか」と言ったきり、壱馬はそこから動こうとはしなかった。 「身体は痛まぬか。また無理な抱き方をしたが」 壱馬は良成の頬を包む。 「はい、大丈夫でございます」 良成は、上目遣いに壱馬を見て微笑んだ。 「そうか」 壱馬は身体を起こし、着物を羽織る。 「月を見たいのか?」 「はい!」 良成は、嬉しくて慌てて着物を羽織った。 「慌てぬでもよい」 壱馬は、愉快そうに言い、良成が着物を着る邪魔をする。 着たものをまた脱がせ、乳首に吸い付いてきた。 「ぁ…っ!おやめ下さい…」 あまりに急に吸われ、良成は膝から崩れ落ちる。 壱馬は、もう一度、と良成を組みしだいた。 「壱馬様…もう…」 良成の中心がはち切れそうになっている。 壱馬は、舌なめずりをしてそれを深く咥えた。 「ああっあぁっ…お許し下さい…」 良成は、恥ずかしさで顔を覆う。 こんな屈辱は初めてだった。 「あぁ…あぁっ…」 何度も出し入れされ、耐えきれずに良成は、白濁を散らす。 「も、申し訳ありません…このようなみっともない……」 恥ずかしさで、顔を覆う。 壱馬は「気にするでない」と笑いながら柔らかな布でそれを拭ってくれた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!