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唐突に非常事態宣言
突然、奥の部屋から、きゃははははは、と笑いが響いてきた。
赤ん坊だ。一人が笑い、もう一人もつられたように笑っている。
見に行くと、オムツを外された小僧がみごとな噴水を上げている。
おお、かなりの水量。思わず見とれてしまう貴生。
きれいな放物線を描いて、もう一人の服に、びしゃびしゃと当たってしぶきをあげている。
それが面白おかしいらしく、かけられた方が大笑いしていた。手脚をばたつかせてさらに笑っている。
「やめろぉ、ええと」
シッコしてる方がトシ、いやマサだ。笑いこけている方がトシ。多分。
「トシ、いやマサ、マアくん、やめなさい」タオルで上から押さえてみた。
ちょうど済んだらしく、放水は止まった。
しばらくは大丈夫だろう、とそちらは放っておくことにして、まずトシの濡れた服を脱がそうとする。が、彼は起き上がってハイハイで逃げようとする。
「トシ、待て」
スナップが固くて外しにくて、手が滑る。
頭の方から外していこうとしていたら、股下まで外す前に服からするりとぬけ出して、トシはずんずん向こうに這っていってしまった。
「ヒキョウだぞ、オマエ」
背中のオムツに手がかかった。がそれもすっぽりと抜けてしまう。
ヤバい、恐怖のフルチン。また放水したらどうすればいい?
部屋の片隅まで行ってどうにか捕まえたとき、何となくイヤな予感がしてふり向いた。
オムツの外れたままのマサが、真っ赤になって力んでいる。
「ストーーーーーップ!」
駆けつけたときには、すでに少し緩めの、それ、何だ、アレですね。
開放的になったせいか、思いがけず勢いよくしかもかなりたっぷりとそれは放出されていた。
向こうの端では、座り直したトシが「だあ」と言ってからやはり放水を始めた。
赤ん坊というのは、オムツを取られると非常にオープンマインドになるらしい。
正視に堪えられず、彼は顔を覆った指の隙間からその悪魔的所業の一部始終を見守る。
両方ともすっきりした顔になったところで勇気を出して近づいていった。
どうにかすべてを拭き終わって、ふたりを風呂場に担いでいった。
シャワーの湯加減をかなりぬるめにしてまずマサからきれいにしていたら、トシがくしゃみをした。
少し湯温を上げて、トシを洗ってやる。すると今度はマサがくしゃみした。
キリがねえ、と二人を並べて座らせ(つかまり立ちがまだ完全ではない)いっぺんに湯をかけてやる。
バスタオルで拭く時も、二人いっぺんだ。
由利香がいつもこうやっているのを急に思い出した。
一人一人やっていると、もう一人に逃げられてしまう。この人たちもいつも二人まとめてやってもらうのに慣れているせいか、こうやると大人しい。
そしてオムツ。これは何度か手伝ったことがあるので、それでも何とかうまくはめることができた。
服は何を着せるんだっけ? つなぎか? それとも上下別々?
彼はうろうろと辺りを見回す。
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