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進藤の命令によって隼人はすぐに社員たちにGoサインを出す。
下がり続ける後藤の株を進藤ファンドが買い始め、ただの紙切れは進藤ファンドの介入で少しずつ上がり始める。
一気に株を購入したことで社内の電話が鳴り始め、紅一点の片山 日菜子が慌てている。
喰われ始めた後藤弘正の会社に進藤が首を突っ込む準備は着々と進んでいった。
経営に深く関与する為に必要な株は3分の2以上。時間の問題だった。
仕事は定時で終わる。残業の日は朝までの事もあるが6階には社員が泊まる為の部屋も完備されている。
隼人は度々この部屋のシャワールームだけを利用することがある。バスタオルで体を拭いて、仕事場の人間には見せない白シャツとダメージジーンズ身に付ける。スーツは部屋のハンガーに掛け、革靴からスニーカーに履き替えると誰にも見られていないのを確認してそっと部屋を出た。
階段を使い表に出るとタクシーを拾う、会社から出れば隼人も漸くリラックスする。行き先はクラブ、運転手にはその手前の病院で降ろしてもらう。
隼人がよく来るクラブ、バンブルビーの店内は暗く耳をつんざくテクノが流れ、誰もが一夜限りの二度と会わない人たちで気を使う必要がない。
後方のカウンターに立つ知り合いにチケットを渡すとビールを頼み、グラスに注がれた琥珀色を一気に飲み干した。
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