会いたい

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会いたい

除夜の鐘のなる頃 (今年はあなたに会えて、素敵な年になりました。来年もよろしくおねがいします) もっと色々話したかったけど・・・年末の挨拶だけ、ラインした。 直ぐに返事が来ると思っていたが、「Happy New Year」と、言っている時間になっても返事は来なかった。 電話して、声だけでも聞こうかな? でも・・・返事がないってことは、もう寝ているのかもしれない。 こうして、何も話せないまま、年越しして終わった。 恭平さんから、返事が来たのは、元日のお昼すぎ、 (ごめん! 年越ししちゃたな。つい仕事に集中しちゃって、年越しも忘れてた! 改めて、明けましておめでとう㊗) 私は、あけおめの可愛いスタンプだけ、直ぐに送った。 直後に電話がきた。 「ごめんな! 返事遅くなって・・・元気か?」 「うん! 元気ですよ」 「お雑煮はもう食べたか?」 「まだ食べてない・・・」 「天利家では、夜食べるのか?」 「そうでもないけど・・・初詣は?」 「初詣? 今まで行ったことないなぁ。人多いしな。」 「そうですか・・・人混み嫌ですよね」 「来年は、日本で正月祝えないかもしれないから、今年は家族とゆっくりしろよ! 俺も仕事が立て込んでいて、休みも仕事の整理なんだ・・・」 音羽は、もしかしたら、初詣って言ったら、誘ってくれるかもしれないと、期待していたが、恭平さんの頭には、二人で楽しく過ごす正月なんて、うかばなかったのかと・・・人混み嫌いなんだぁ・・・ 音羽は思い切って 「いつなら会えますか?」 「そうだなぁ~・・・10日過ぎれば落ち着くかな? また、連絡する」 「はい分かりました。お時間が出来たらお会いしたいです」 一ヶ月のお給料頂いても、自活の食費や消耗品、必需品の楽譜代などで、消えていくお金を差し引くと、貯金できるのは、10万円もない。 これでは8月まで頑張ってアルバイトしても、ドイツでの当面の生活費までは、とても追いつかない。 音羽は、苦しい今の状況を話してみよう。彼なら一緒に解決策を、考えてくれるかもしれない・・・と、思っていた。 俺は、一日も早く音羽との夢の約束を、実現しなければと焦っていた。 正月どころではなく、初出勤日にも、企画書提出してOKをもらおうと、画策していた。音羽の気持ちなど、全く考えていなかった。
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